朽葉
*模倣目的の閲覧はご遠慮ください*

朽葉
- 2020
- Flameworked; borosilicate glass
- size: W180xD100xH50(mm)
【個人蔵】
『朽ちる』ということについて
作品づくりを始めた頃から構想はあったものの、なかなか掴めずに形にならなかったのが、植物が『朽ちる』様でした。
枯葉などを道端で見かけても、からからに乾いたそれは、粉になって吹き飛んでいくばかりで朽ちるという様子とは違う。
山の近くに住むようになって、土の上に溜まった枯葉の掃除などするうちに、柔らかに湿気て半分葉脈だけになっていく様子、急斜面に生えた植物の根の張り出しに溜まっては土になっていく様子などを見るうち、ようやく腑に落ちるものがあり、今回の制作に繋がりました。
言葉にするのは難しいですが、『朽ちる』というと個の喪失を思わせる、大きな重々しい現象と考えていましたが、実際に目にする植物の朽ちる様子はそういった類の『一つの』現象ではなかった――。
これは植物にフォーカスを当てるのか、環境も含めてのものを見るのかでとらえ方が変わる点かもしれませんが、『朽ちる』という現象は植物だけでは成り立たず、分解する者の日常の寄り集まりであり、吸収する者の成長の流れの一部なのだろうと感じられました。
朽ちた葉は、水を含んで分解されて、土になり、植物に戻る。
土になる過程では菌や昆虫が関わり、分解されたものは広がって、吸い上げられて脈を伝っていく。
そういった様を表現しようと試みた作品です。
本作品では葉の半分の葉脈を崩し、分岐して繋がり、広がる形状にしています。分岐し繋がって広がる形は、分解者である菌類、分解されたものを吸い上げる根、吸い上げられたものが通り植物を形作る脈を重ねて表現しています。
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四季折々の情景 美術館に息づく小さな自然たち(@ヤマザキマザック美術館 2021/10/29~2022/02/27) 展示